
超音速で空を飛ぶGガール(ユマ・サーマン)の映画なので、もちろん空も舞台になるし、超音速での移動は、異空間を一瞬で繋げる。その設定のおかげでもあるし、監督のアイバン・ライトマンの巧さでもあると思うのだが、劇空間がとても充実しているし、立体的だ。
冒頭から振り返ると、Gガールの空中での活躍があり、それが記事となっている新聞を見ている地下鉄のマット(ルーク・ウィルソン)とヴォーン(レイン・ウィルソン)となる。空から地下へ。
その地下鉄でGガールとは知らず声をかけるマット、Gガールの鞄が盗まれ、犯人を追いかけて地上に出る。地下から地上へ。
途中で鞄が投げ捨てられて、無事鞄を取り戻したマットは、逃げていく犯人に悪態をつく。それに怒った犯人は、近くにあった鉄パイプを手にして逆にマットを追いかける。逃げるマットはゴミ箱に隠れる。NYの街中からゴミ箱の中へ。
犯人は、ゴミ箱を鉄パイプでたたき、出てこいと言う。観念したマットが外に出ると、そこにはいつの間にかメガネ美女(Gガール)がいる。文字通り急接近して、去って行く二人を捉えるカメラがクレーンアップすると、Gガールにやられた犯人がぶら下がっている。ゴミ箱の中から外へ。さらに犯人は地上から空中へ。
冒頭だけでも、これだけバラエティに富んだ場面が展開する。さらにそこには鮮やかな反転まであるのだ。
1)普段は人々を助ける側のGガールが、逆に助けられる。
2)追いかけられる犯人が、逆に追いかける。
3)外にはそいつから逃げるべき犯人がいると思ったら、逆に近づきたいと思っていたメガネ美女(Gガール)がいる。
またマットがベッドラム教授(エディ・イザード)らに捕まり、自由の女神像に逆さ吊りさせられるスケールのでかいカットから、そのマットの悲鳴を超人的な聴覚で耳にする自室のGガールのカットへの繋ぎにセンスを感じる。その自室のGガールは、ストーリー展開上は何をしていてもいいはずで、テレビを観ているところでも、料理しているところであってもかまわない。それだけに何をさせるかで作り手のセンスが垣間見えるところ。
センスのよいアイバン・ライトマンは、Gガールにペディキュアを塗らさせている。
自由の女神像での逆さ吊りから、ヒッチコックの「逃走迷路」を想起する映画ファンは多いと思うのだが、その「逃走迷路」についてトリュフォーは次のように言っている。
「・・・この糸がほぐれてちぎれていく袖口の超クロースアップと自由の女神像との対照がすごいと思います。最小から最大へ、最大から最小へという、あなたのいつもの手がここでも見事に成果をあげていると思うのです。」
この袖口の超クロースアップのかわりが、ペディキュアの塗られた爪先のクロースアップだ。
最大から最小へである。
・Gガール-破壊的な彼女-@映画生活
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