撮影監督の映画批評

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『レヴェナント 蘇えりし者』(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ)

Alexa 65に24mm(35mmセンサーで12mm相当)、Alexa M(35mmセンサー)に12mmのワイドレンズで、時にマットボックスがレオナルド・ディカプリオの顔にあたりそうになるくらい接近して撮影されたという長回しは、圧巻である。

'The Revenant': Inside the Film’s Cold, Wet, Dirty, Determined Production

被写体との距離が常に3feet以内という極端な接写での長回しは、大自然の中でのサバイバルを描くのにこそふさわしい。
キャメラが、ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)に寄り添えば寄り添うほど、彼を取り巻く大自然との距離が強調され、観客も共に疎外され、その大自然/距離に圧倒される。
ただワイドレンズの接写ということだけでなく、それが長回しであることで、キャメラは文字通り被写体を舐めるように移動し、背景の大自然はそのパララックスでダイナミックに変化する。

誰も見たことがない映像の語り口(ワイドレンズで被写体に限りなく接近した長回し)と語られる内容(大自然の中でのサバイバル)が見事に一致した映画である。が、しかしグラスが蘇えりし者となり、後半パラレルモンタージュで描かれるジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)との追いかけになるとやや様子が異なってくる。

大自然から疎外された人間を魅力的に捉えていたワイドレンズには、見るべき距離が被写体と背景の間にあった。被写体(グラス)と背景(自然)との葛藤がドラマだったのだ。
しかし、パラレルモンタージュで描かれる距離は、被写体と背景の間ではなく、被写体同士の間にあり、ワイドレンズで捉えられる大自然は、残念ながらただの背景として退いてしまう。そこでは被写体同士(グラスとフィッツジェラルド)の葛藤が見るべきドラマになるからだ。

背景が背景であるがままに表面に出てくる、とでも言えそうな長回しで捉えられたグラスvs自然に対し、パラレルモンタージュで捉えられるグラスvsフィッツジェラルドを取り囲む自然は、他の映画同様背景にすぎず、後半になって普通の映画になってしまった感は否めない。

とはいえ、今まで見たことのない映像それだけで、やはり見られるべき映画ではある。





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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

  1. 2016/04/27(水) 20:24:24|
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Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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