撮影監督の映画批評

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「お家をさがそう」(サム・メンデス)

(ネタバレあり)
 好感がもてるのは、バート(ジョン・クラシンスキー)とヴェローナ(マーヤ・ルドルフ)に子供ができるところから物語ははじまるというのに、ラストに至っても子供の誕生を描かない点だ。映画において出産シーンは、登場人物が死ぬシーンに劣らず飽かず描かれる。なぜならそれだけで十分ドラマチックであるのだし、アナロジカルな使用にも適しているからである。それだけに安易な使用が跡を絶たない。
 妊娠を描きながら、出産を描かず、ラストに描かれるのが、2人が実家のドアを開けるシーンである。キャメラは家の中で2人をとらえる。その後ろに両開きのドアがあって、その明かり取り窓から水面がみえる。バートがその立て付けのわるいドアを片側開けると、そこから(エドワード・ホッパーの「海辺の部屋」のように)水面がはっきりとみえた。しかしまだ半分だ。バートはもう片側のドアも開けようとする。するとあろうことかキャメラは外に出て、外からもう片側のこれまた立て付けのわるいドアを開けようとするバートをとらえる。なぜカットを割ったのか?そのまま割らず、2人の目の前に広がる水面を1カットでとらえるべきではないのか。しかし早計であったと恥じることになる。外からとらえられたカットは、バートが開けようとする片側のドアで、その奥にいるヴェローナを隠している。そしてバートが立て付けのわるいドアを開けてみえるのは、一面の水面ではなく、矩形のフレームに枠取られた夫婦なのだ。われわれがみるべきは、水面ではなく、家の中の夫婦なのだ。慎ましくもすばらしい。
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  1. 2011/04/07(木) 22:56:22|
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著書

プロフィール

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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