撮影監督の映画批評

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「ソーシャル・ネットワーク」( デヴィッド・フィンチャー)

 ショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)に日本で公開するなら”the”を除いた方がいいと言われたわけではないだろうが、「ソーシャル・ネットワーク(The Social Network)」を観た。
 冒頭のマーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)とエリカ・オルブライト(ルーニー・マーラ)の会話にすべてが先取りされている。現時点では未だfacebookはブロックされている中国の潜在的な数の話から入り、ファイナルクラブ、ボート部の話などを折り込みながら、次々に話題を変えていき、相手を煙にまくその会話スタイルや、彼のオブセッション、ものの見方まですべてがそこにある。(後のウィンクルボス兄弟らに誘われるシーンで、ここのエリカのセリフをそのままマークが繰り返したりもする)
 リアクションでキャラクターを説明するためだけの意味のない会話であったり、入れ子状に配される、物語のアレゴリーとしての会話であったりは、他の映画でもそれぞれ目にすることがままある。しかしこの冒頭の会話は、その両方をかねそなえ、かつその精度が高いのでそれと気づかせない。観客は、いつのまにか主人公のキャラクターに慣れ親しんで、知らないうちにこれから見せられる物語を予告されている。この濃密な会話シーンのあとに、マークの歩きを延々と繋ぐこの緩急もまた巧い。
 しかも、これがポイントなのだが、語られれば、語られるほど、マークが何を考えているかわからないように演出されているのだ。この謎に我々観客は牽引される。

 エドゥアルド・サベリン(アンドリュー・ガーフィールド)と決別するシーンで、オフィスのスクリーンにfacebookのユーザー数が表示される。それはまずたしか100万手前の数で表示される。しばらくしてリロードされると、そこには、すでに、いつのまにか、100万を少し越えた数が。つまりそこには100万を越える瞬間がない。決定的な瞬間は奪われている。リロードしなければ越えたかどうかもわからない。
 ラストのマークもまた何度もリロードする。いつその変化が訪れるかわからないからだ。そしてふと、このマークと同じようにして映画を見ていたことに気づくのだった。

 
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  1. 2011/01/21(金) 02:01:21|
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著書

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中澤正行

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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