撮影監督の映画批評

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「千年の祈り」(ウェイン・ワン)

 (ネタバレあり)
 
 「悲しみは空の彼方に」(ダグラス・サーク)のタイトルバックは、宝石が降り積もるのをスローモーションで捉えていた。「千年の祈り」では、空港のターンテーブルに吐き出される手荷物が、その傾斜のためあたかもスローモーションのように落ちてくる。この感覚。

 最近観たお互いに母国語でない英語でコミュニケートする「きみに微笑む雨」(ホ・ジノ)に続き、「千年の祈り」でもシー(ヘンリー・オー)とイラン人のマダムは、お互いの母国語まじりの片言の英語でコミュニケートする。母国語での娘イーラン(フェイ・ユー)との会話より、お互い母国語ではない英語でのイラン人マダムとの会話の方が通じ合えるというのは、ホ・ジノのニュアンスとしてのそれより、やや図式的のきらいはあるが、それがイーラン自身もまた母国語でない方がコミュニケートできたのだとの告白に至っては見事と言うより他ない。彼女もまた夫との母国語での会話より、ロシア人の不倫相手との英語を介した会話に通じ合えるものがあった。
 
 シーがイーランを待ち受け問いただすシーンは、リビングでの縦の動きで演出された長まわしと、キッチンでのカット、イーランの部屋での鏡像を利用した演出で構成されている。その3パートで最もシンプルな演出のキッチンのカット、このバックにシーが中華鍋で料理中、油で壁が汚れないようにと張られた新聞紙がある。このカットのために、あの件があったのではとさえ思わさせる。
 
 イラン人のマダムとのベンチでの会話は、常に向かって右にマダム、左にシーを座らせていた。幾つかのピローショットに続きベンチに座る親子を、向かって右にシー、左にイーランと、シーの位置を逆転させている。この的確さに感動してしまう。
 
 ラスト、電車の音に気づくイーランは、「東京物語」(小津安二郎)の香川京子。
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

  1. 2009/11/24(火) 22:21:34|
  2. 映画感想
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著書

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中澤正行

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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