撮影監督の映画批評

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「トカレフ」(阪本順治)

 ちょいと前に「トカレフ」の話題が出て、毎度のことながら観ているはずなのにすっかり忘れてしまっていて全く話についていけず、気になってDVDを借り再見。

 冒頭、幼稚園バスの運転手・西海道夫(大和武士)の幸せな家族と、孤独な新聞社の印刷局員・松村(佐藤浩市)の生活が交互に点描される。この家族と松村を何度かニアミスさせるのだが、決して松村は家族に視線を注がない。これはなかなかできそうでできない演出である。こののち松村はこの家族をターゲットにするわけであるから、その鬱屈した視線を投げかけるなどといった演出を普通であればしてしまうのである。しかしやらない。
 
 この抑制があって、ビデオの中の視線にたじろぐのであり、さらにニアミスの隙間にこの視線があったのであろうことが遡及してわかる。つまり我々観客は道夫と同じく見ていない松村しか見ていなかったのであり、見ている松村がかつていたであろうことに恐怖するのだ。どこかで見られていたという演出は、あの視線がそうだったのだというフラッシュバックに還元されるような演出よりも怖い。
 もし冒頭に家族を羨むような視線あるいはただの一瞥であってもいいが、それを求められるクロースアップを監督が佐藤浩市に要求していたら、佐藤浩市がいかに好演しようと全ては記号的な演技に堕してしまうだろう。名優とはいい監督にキャスティングされる俳優のことを言うのであって、名優だからいい監督にキャスティングされるのではない。
 
 
 
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テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

  1. 2009/08/17(月) 23:17:27|
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著書

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Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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