撮影監督の映画批評

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「無謀な瞬間」(マックス・オフュルス)

 冒頭のナレーションがハーパー家を紹介するのだが、息子のセリフにあろうことか邪魔をされ途中でやめてしまう。
 つづく娘をたぶらかす男を訪ねるカウンターでも、なぜか突然鍵が滑って来て女に割り込まれる全く物語と関係のない演出が施されている。

 そう、様々に邪魔されるハーパー夫人(ジョーン・ベネット)を描く映画なのだ。
 では、なぜそのように描かれるのか?
 
 ハーパー夫人が誰にも邪魔されない特異な「無謀な瞬間」を際立てる為である。
 男の死体の発見と同時に音楽は止み、波音だけになる。ハーパー夫人の助けを求めるような顔に続けてPOVが何度か示されるが、どれも突き放すような無人の光景。
 この死体処理の一連を延々とその環境音のみで捉える。
 ここには誰かに見つかるかもしれないというサスペンスはない。
 むしろ誰かに見咎められることを求めるかのような演出がされている。
 であるのに、誰も邪魔しない。誰かに邪魔してほしいのに、誰も邪魔しない。

 それを逆転させるのである。邪魔されたくないのに、邪魔される。
 ドネリー(ジェームズ・メイスン)がハーパー家を初めて訪れるシーンは白眉、ドネリーによって閉め切られるのにもかかわらず、息子はやってくる、娘も出てくる、あげくに祖父まで邪魔をする。
 面白いのは、サスペンスを亢進させるための邪魔ではないこと。
 たとえば、犯人が捕まったとドネリーに告げられ、コーヒーでもと二人で話しながら歩いているときでも、通行人はわざわざ二人の間を通るのだし、見つけた席も寸前で先に座られてしまう。人をどう動かすか。これこそ演出である。
 
 
 
 
 
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テーマ:昔の映画 - ジャンル:映画

  1. 2009/08/12(水) 22:55:00|
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著書

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Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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