撮影監督の映画批評

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「秋刀魚の味」(小津安二郎)

 無性に小津作品を見たくなる時期が、定期的に訪れる。
 仕事柄、休日は暦と全く関係がないので、混雑するであろうゴールデンウィークは蟄居してやり過ごす。読書とDVD。
 このブログの記事に新作が多いのは、小津のようにいたるところで語られている作品をとりあげると酷い健忘症ゆえ、どこかで見聞きしたことをあたかも自分の発見のように力説してしまうのではないかと恐れるからで、今回「秋刀魚の味」をとりあげるにあたってこのように前置きするのは、やはり自信がないからである。
 とはいえ、このブログは自身の備忘録だということを忘れてはいけない(ので、そう備忘録に記す)

 周平(笠智衆)と幸一(佐田啓二)は、路子(岩下志麻)が想いをよせる男にはすでに相手がいたと告げる。存外平気な様子で出て行った路子に安心する周平と幸一だが、路子と入れ替わるようにやってきた和夫(三上真一郎)に、路子が泣いていたと知らされる。周平は二階の路子の部屋へと行く。机に向かって座っている路子の後ろ姿、周平をふりかえる。周平が出て行った後、キャメラは路子の正面に入ってその表情をとらえるのだから、なにも無理にふりかえらせる必要はなかった。それだけにその路子のふりかえりは際立つ。
 そしてこの一連がそっくり反復される。
 礼服を着た周平と幸一、二人が同じように居間に座っている。そこに着付けが終わったと知らせにやってくる女性、路子が泣いていたと知らせにくる和夫と重なる。二階へと向かう周平と幸一。廊下のカットを挿んで、二階の二間つづきの部屋を引きでとらえるカット、周平が敷居を越えるアクションで周平のバストアップ。全く同じフレームとつなぎ。路子の自然なふりかえり。ただのふりかえりにすぎないのにそう感じさせないのは、あのふりかえりがあったからだ。

 ラスト、酔って帰ってきた周平は居間でウトウトする。カットが変わり廊下、階段、鏡むけ二階の部屋、鏡、階段むけ二階の部屋と無人のショットがつづき、廊下で二階を見上げ涙ぐむ周平のプロフィールにつなげられる。
 この無人のカットは、この映画で二度、路子のもとへ二階に上がった(その時はなかった)周平の見た目ともとれる。廊下から階段を上がって鏡に近づき、そして反射するかのように折り返して階段の方をふりかえる。そして階下でその視線を受け取るように立つ周平。 

 
 
 <おまけ>

 秋刀魚

 秋子(岡田茉莉子)の
 薄いイエローのシャツと牛乳キャップのイエロー。
 白いエプロンと白い牛乳。
 ダークグリーンのスカートとダークグリーンの湯のみ。
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  1. 2009/05/05(火) 03:40:08|
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著書

プロフィール

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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