撮影監督の映画批評

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「レイチェルの結婚」(ジョナサン・デミ)

 ネタバレ注意

 ドラマティックな展開を拒否する映画は山のようにあるが、ただそれらはドラマティックではない映画にすぎないのがほとんどだ。
 「レイチェルの結婚」は、ドラマティックな展開が全て尻窄まりになる特異な映画と言えるだろう。

 まず最初のドラマティックな展開は、(エマの暴露話のそれとは違って)誰もがそこで言うべきではないだろうと思うことをスピーチしたキム(アン・ハサウェイ)に、レイチェル(ローズマリー・デウィット)が文句を言うシーン。
 帰宅したばかりのバックマン家は暗く、キムとレイチェルは歩き回りながら、その都度その場所の明かりが点される。キムとレイチェルの言い争いから、バックマン家の暗部が次々白日のもとにさらされるかのようで巧い。
 しかし、その言い争いもキムがアンフェアだとするレイチェルの妊娠話で有耶無耶になる。キムのアクティングアウトは、曖昧にされたまま行き場を失う。

 次にレイチェルが父ポール(ビル・アーウィン)をキッチンへと呼び出し、心情を吐露するのだが、そこでも邪魔が入り皿洗い競争になってしまう。

 それでも弟の話にふれるとそれなりにドラマティックな展開になり、キムは家を出る。かといって心配する食卓でかかってくる電話(ケータリングの電話だったのだが)が、サスペンスを煽るわけでもなく、雑事が心配を有耶無耶にするにすぎない。
 一方、実母のもとで言い争いになりそれなりにドラマティックに飛び出したキムだが、車を走らせ自殺を図るも死にきれない。あまっさえその事故処理の現場の尻窄まりが丁寧に描写されている。
 
 結婚式の夜、キムは実母を探す。帰る母親を追いかけようとするが、父ポールに呼び止められ仕事の世話を焼かれる。それをやり過ごし玄関を出るが、実母の乗る車を見送るしかない。

 決定的な対決は常に回避され、曖昧に終わる。それだけでは消化不良を起こさせもするであろうシークエンスがそれぞれ呼応しあって、「アンフェア」な映画になった。見るべきは行き場を失った俳優アン・ハサウェイの顔かもしれない。
 
 
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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

  1. 2009/04/21(火) 03:25:53|
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著書

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中澤正行

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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