撮影監督の映画批評

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「イエスマン “YES”は人生のパスワード」( ペイトン・リード)

 (ネタバレ注意)

 常に"NO"と答えてきたカール(ジム・キャリー)が、とあるセミナーに参加し、全てに"YES"と答えるようになるというストーリー。

 例えばファレリー兄弟の「愛しのローズマリー」だと、女性は中身より外見だと言っていた男が、催眠術をかけられて、内面の美しい女性が美しく見えるようになるというストーリーなのだが、あくまで催眠術なので有無を言わせない。催眠術にかかるとそうなるのだという設定を受け入れることが観賞の条件になる。

 しかし本作は自己啓発セミナーであって、催眠術などではない。しかもどちらかといえば猜疑心の強い主人公のようであるから、その彼が全てに"YES"と答えるようになるのにどう説得力をもたせているのか。

 巧いのは、誓約どおり全てに"YES"と答えたら、いいことどころか、ついていない出来事を連続させるところである。
 常に"NO"と答えてきたカールがセミナーに参加する心境は、実にアンビバレントなもの。そこには「もしかしたら」と言う気持ちと、その「もしかしたら」を否定したい気持ちが同居している。
 であるからセミナー後誓約どおり全てに"YES"と答え、それゆえトラブルに見舞われるのにも拘らず、偏執的に、マゾヒスティックにそれをやめないのは、「ほらみたことか」と否定し、「もしかしたら」はないのだと徹底的に自ら言い聞かせる作業であるからだ。裏を返せば「もしかしたら」という思いがしぶといということ。
 そこにあらわれるアリソン(ゾーイー・デシャネル)、完璧。
 カールは、信じたかったのだ。信じたい人が信じる。
 
 誤認逮捕され、アリソンが去って行くと、誓約を破ったからだと結論づける。友人のピーターは「"YES"の誓約など意味ない」と説得しようが、聞く耳をもたない。なぜならカールはそれを信じたくないからだ。

 しかし、元妻が求めるのに"NO"と答えるカール。逃げるカールは立て続けトラブルに見舞われる。
 ここで思い出すのは、カールが隣家のおばあちゃんの誘いを断ったシーン。そこでも、立て続けにトラブルが舞い込み、誓約を破ったからだとおばあちゃんのもとに戻った。
 が、ここでカールは、元妻のもとには戻らない。なぜなら「もしかしたら」「"YES"の誓約など意味ない」かもしれないという思いを否定しきれないからだ。
 そこで教祖(テレンス・スタンプ)が、「"YES"の誓約など意味ない」と言う、完璧。
 カールは、信じたかったのだ。信じたい人が信じる。
 
 
 
 

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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

  1. 2009/04/15(水) 01:24:43|
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著書

プロフィール

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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