撮影監督の映画批評

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「ハルフウェイ」(北川悦吏子)

 (ネタバレ注意)

 冒頭、保健室でヒロ(北乃きい)はそれとは知らず、シュウ(岡田将生)に告白してしまう。それ自体はよくあるパターンなのだが、メメ(仲里依紗)とシュウはその場を取繕ってしまう。アクシデントによって意図せず告白してしまうというよくある展開は、取繕われ、なかったことにされてしまう、あまりない展開となる。であるから、その結果を知って(私は意図せず告白してしまったのだと)狼狽える主人公というよくある画が、そこにはない。

 程なく、ヒロは意図して告白しようと(意図せずすでになされた告白をそれとは知らず再度しようと)帰り道シュウを待ち伏せる。しかし(それゆえ如上のよくあるパターンに頼るのだが)意図しての告白は声にならない。 
 すでにヒロの気持ちを知るシュウは、彼女からの告白をなかったものとするべく自分から告白する。
 突然の展開に狼狽えるヒロ、思わず保留してしまう。意図せず保留したことで、あくまで彼から告白されたのであって、自分からの告白はなかったということになる。

 この秀逸な2つのシークエンスですでに、シュウは2度も彼女の告白をなかったものとしている。そのことを主人公ヒロ以外は知っているのだ。つまりシュウと我々観客。

 シュウの志望校が東京の大学だとタス(溝端淳平)から聞いたヒロは、なぜ東京に行くのに私に告白したのかとシュウに詰め寄る。
 シュウが告白したのは、ヒロの告白をなかったものにする為だったのだから、ここでその理由は話せない。沈黙するシュウ。

 シュウは迷った末に東京の大学をあきらめる。それを再びタスから聞くヒロ。
 
 ヒロの告白をなかったものとする為に、沈黙し、東京をあきらめるシュウ。
 これは冒頭の2シークエンスに重なる。
 沈黙でやり過ごすのは、保健室での取繕い。東京をあきらめるのは、シュウからの告白。
 「いけな」は、シュウからの告白の保留。

 ラスト、ドラムロールとともにお互いが発表しあう遊びでヒロがシュウに無意識に欲しているのは、なかったことにされたヒロの告白ではないだろうか。

 なかったことにされたヒロの告白を谺のように、それこそドラムロールのように反響させ、全編を支配させる構造は、それゆえアドリブにスポイルされることはない。
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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

  1. 2009/04/13(月) 00:35:02|
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著書

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Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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