撮影監督の映画批評

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「1408号室」(ミカエル・ハフストローム)

 (ネタバレあり)
 新宿ミラノ3にて「1408号室」を観賞し、その後新宿ピカデリーにて「WALL・E/ウォーリー」を観た。外より寒いミラノ3でダウンに首を埋めながら凍え、過剰暖房のピカデリーでカットソーのみになっても尚汗ばみ、まるで空調のくるった「1408号室」。

 マイク(ジョン・キューザック)は自著のサイン会で、eBayで購入したという随分以前に出版されたのであろうマイクの著書を持った女性から質問される。この作品に出てくる親子の話は本当の話なのか?マイクは違うと否定し、今の自分はもう別人だともそこで言っている。我々観客は、否定したマイクの言葉を疑い、マイクにもう別人だと言わしめる過去があったに違いないと確信する。

 マイクが1408号室には絶対に入ってはならないという葉書を受け取ったがゆえに、1408号室に泊まろうとするのは、「青髭」や「鶴の恩返し」などの禁室型の説話と同じである。それは我々観客にとってなじみ深い話型という幾分客観的な事実であるだけでなく、すでに主観的に折り込まれている。つまり、先のマイクが否定した言葉や隠された過去にこそ何かがあるとする観客と、入ってはいけない1408号室にこそ何かがある/入らなければならないとするマイクが同じなのだ。観客がマイクに対して抱いた謎と同じ仕方で、マイクが1408号室に謎を抱くところがミソなのだ。

 マイクがその葉書を受け取るのを私書箱の内側にカメラを据え捉えている。これと同じ構図をもう一度観ることになるのだが、支配人のオリン(サミュエル・L・ジャクソン)によって当の1408号室の鍵が取り出されるそれである。
 入るなという葉書を入ろうとするマイクが手にする構図と、部屋に入る為の鍵を入るなと説得するオリンが手にする構図が重なる。
 1408号室に入る/入るなで反転する鏡像。マイクとオリンは鏡に映った同じ人物。

 それを証拠だてるかのごとくの夢オチ、すべてはマイクの夢であったという夢オチではないというオチ。シシュポスの岩。さらには、再度同じ60分が繰り返される。「恋はデジャ・ブ」的地獄。

 しかし、2度娘を失うことで、我々観客がそこに何かがあるとした何かを埋める。正しい葬送。

 ラスト、娘の声がテープレコーダーから聞こえるのは、「エルム街の悪夢」で夢の中から持って帰ってきたフレディの帽子のよう。

 

 
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

  1. 2008/12/17(水) 01:09:32|
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著書

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中澤正行

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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