撮影監督の映画批評

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「あぁ、結婚生活」(アイラ・サックス)

 (ネタバレあり)
 韓国映画「今、愛している人と暮らしていますか?」(以前TOHOシネマズ六本木ヒルズで観たが、なんとプロジェクター上映。シネスコ作品で上下クロップされた低画質。DVD上映との但書など一切なかった)と同じくダブル不倫もの。(「今、愛している人と暮らしていますか?」は、お互いの伴侶同士が不倫相手になるのだから、クアドラプル不倫か)

 ダブル不倫もののポイントとして、自らの不倫を隠すことに専らで、相手の不倫に気づかないというのがある。
 リチャード(ピアース・ブロスナン)のボイスオーバーで、「女の直感は鋭いと言う。僕は信じない」と語られるが、その時点で妻パット(パトリシア・クラークソン)の不倫はまだ観客には知らされていない。個人的に女の直感は鋭いと信じて疑わない私は、この一言に引っかかるのだが、鋭いはずの女の直感が例外的に鈍るケースとして腑に落ちることになるダブル不倫という真相への前フリだったのだ。
 ここから得られる教訓は、自分の浮気がバレないのは巧みに隠し果せているからなのではなく、相手が自分に何か隠しているからなのかもしれないということ。

 リチャードのケイ(レイチェル・マクアダムス)へのアプローチも素敵だ。最初の訪問でダイナーへと誘い出し食事をし家まで送るリチャードが、その門前でコーヒーが飲みたいと言うが、すげなく断られる。
 次にケイを送り届けたその時には、ケイが酒を勧め寄っていかないかと言う。それを断るリチャード。この逆転だけで全てを語っている。駄目押しは、リチャードがケイの吸う煙草を求め、彼女の唇に触れたもう短くなった煙草をやさしく包み込むその指である。力の入っていない様子が、立てた小指にあらわれていて艶かしい。

 ケイと別れたハリー(クリス・クーパー)が、パットのもとへと戻り、パットの浮気相手を目撃したであろうが殊更そのリアクションは強調させず、目撃されたかもしれないとパットが思ったかどうかも判然とさせないまま、洗面所のハリーと寝室のパットに会話させる。
 ハリーが「映画はどうだった?」と聞く。
 パットが「よかったわ。いい作品だった」と答える。
 ここで語られる実際には観られていない映画こそ、我々が実際、観ているこの映画のことである。素直ではないが素敵なハッピーエンド。
 
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テーマ:ミニシアター系 - ジャンル:映画

  1. 2008/10/14(火) 14:17:36|
  2. 映画感想
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著書

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中澤正行

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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