撮影監督の映画批評

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ダークナイト

ダークナイト

 (ネタバレあり)
 映画は冒頭、ピエロのマスクを手にしたジョーカー(ヒース・レジャー)を後ろ姿で登場させる。マスクに空いた両目の穴から、向こう側が透けて見える。
 マスクを外し現れるジョーカーの顔は、くずれかけの白いメイク。
 なぜ、ボロボロのメイクが魅力的なのだろうか?
 
 ジャック・ニコルソン演じるティム・バートン作品でのジョーカーは、薬品により漂白された白い顔そのものとして登場した。その顔/表情はジョーカーの邪悪さを表現している。
 一方、ヒース・レジャー演じるジョーカーのそれは、メイクでありマスクなのだ。
 しかも、そのメイク/マスクの向こうには何もない。何かを隠す為のメイク/マスクではない。だから、ボロボロでいいのだし、メイクの上からでもマスクを被る。

 口の傷跡もそうだ。その由来はそれを語って聞かせるごとに異なるように、オリジンをもたない。
 悪行の理由として納得のいく金は、それゆえに燃やされる。

 メイクの向こうに、傷跡の向こうに、悪行の向こうに、何もないことが恐怖なのだ。
 
 バットマン(クリスチャン・ベール)の正体が暴かれてはいけないのは、実はその為。善行の向こうに、何もないことを知られてはいけない。そこには正義があると、ジャック・ニコルソンの演じたジョーカーが悪の化身であったように、バットマンも正義の化身でなければならない。

 その向こうに何もないことを知っているハービー・デント(アーロン・エッカート)は、それゆえコインの絵柄をどちらも顔/表/正義にする。善行を行うのはそれが正しいからという同語反復。
 が、それは知られてはいけない。この秘密を知ったレイチェル・ドーズ(マギー・ギレンホール)と、それをあかしたデントは、ともにジョーカーの凶手にかかる。
 
 知られてはいけないことを知っているバットマンは、それゆえデントをwhite knightとするのであるし、同じく翻意したジョーカーも裏切り社員の口を封じようとし、それゆえ生き延びる。

 煤けたコインの裏表は、当然トゥーフェイスの左右の顔なのだが、生き延びたバットマンとジョーカーでもある。
 バットマンが表で、ジョーカーが裏ではない。どちらも表で(同語反復で)、ただそれが煤けているか否かの違い。
 だから裏であったジャック・ニコルソン演じるジョーカーと違って、表であるヒース・レジャー演じるジョーカーのメイクは煤けているのである。
 
 

 
 
 
 
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テーマ:バットマン ダークナイト - ジャンル:映画

  1. 2008/08/14(木) 02:31:51|
  2. 映画感想
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著書

プロフィール

中澤正行

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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