撮影監督の映画批評

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「夜顔」

夜顔

 前触れと痕跡の映画。
 アンリ(ミシェル・ピコリ)が追いかけるセヴリーヌ(ビュル・オジエ)。
 セヴリーヌはアンリから逃れ、しかしそこにはセヴリーヌの痕跡。
 アンリはセヴリーヌを探す、そこにセヴリーヌが現れる前触れ。

 コンサート会場を出て、すぐに見失い。その帰途で見つめるショーウィンドウのマネキン。
 そのすぐ後に、再びセヴリーヌを見つける。

 そのセヴリーヌが先程までいたバーに入るアンリ。そこで見つめる裸婦像。

 バーで聞いた滞在先のホテルを訪ねるアンリが、その前の道で見つめる金色の彫像。
 すぐ後に、セヴリーヌとニアミス。

 またしても、追いつくことができなかったアンリが、その帰途に見つめる金色の彫像。

 これらアンリによって見つめられる女性像は、セヴリーヌの影、前触れであり痕跡である。

 その追跡劇は、嘘のように呆気なく終わりアンリはセヴリーヌをつかまえる。しかしそれは嘘のように呆気ない引きの画で、セリフもなく提示される。

 再会のレストランでセヴリーヌはなかなか来ない。
 そこでアンリは、壁に掛けられた絵に描かれた人物を見つめる。
 直後にやってくるセヴリーヌ。(前触れ)

 ドア口に立つセヴリーヌは、まずガラスの反映にて捉えられる。実像にカットが変わると、明るい廊下の壁をバックに矩形に切りとられたフレーム内フレームに佇むセヴリーヌ。そのフレーム内フレームにフレームインするアンリ。息を呑む美しさとはこのこと。二人がフレーム内フレームから出て、部屋に入り着席するバックで静かに閉められるフレーム内フレーム。

 アンリが送る箱の中身は何か?
 アンリは「女という存在は自然が生んだ、最大の謎だ」と言う、そう、箱の中身は謎、マクガフィンなのだ。
 謎に答えがあれば、それは謎ではなくなる。だからセヴリーヌという謎を愛するアンリは、セヴリーヌという謎は謎のままに、その影である前触れや痕跡である像を見つめるのだ。答えを知ってはいけないということだけは知っているアンリ。
 夫が知っていたのかどうかを知りたがる=謎をあきらかにしたいセヴリーヌは、中身が謎であるアンリの送る箱を「もう興味を失ったわ」と突き返す。アンリは自分が使おうと引き受ける。そう、アンリが謎を引き受けたのだ。アンリは、セヴリーヌが知りたがる謎に答えない。
 出て行くセヴリーヌの痕跡としてのニワトリ。
 謎を引き受けたアンリが出て行った後、アンリの痕跡としての彫像を見つめるのは、われわれ観客なのである。
 

 
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テーマ:ミニシアター系 - ジャンル:映画

  1. 2008/01/25(金) 17:29:35|
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著書

プロフィール

中澤正行

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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