撮影監督の映画批評

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

「ヴィーナス」

ヴィーナス

 (ネタバレあり)
 ファーストカット、カメラは浜辺から海へパンする。海の絵のカットになり、それを見つめるモーリス(ピーター・オトゥール)に繋がる。
 そしてラスト、その海にやってくるモーリスとジェシー(ジョディ・ウィッテカー)。モーリスが息絶えると、カメラは助けを呼びにいくジェシーにつけてパンしはじめる。途中、ジェシーをリリースしたカメラは、そのままパンニングして浜辺から海へ。
 ジェシーをリリースしてから後は、ファーストカットと全く同じである。
 つまりファーストカットは、まさにこれから語ろうとする物語が行き着く先=モーリスの死を故意に言い落としたフラッシュフォワードカットだったのだということが、遡及的にわかる。
 あるいはこうも言える、ファーストカットの前にすでにモーリスは死んでいたのだと。
 そして亡くなったモーリスの部屋で、同じ海の絵を見つめるジェシー。冒頭のモーリスを反復している。

 すでに与えられているにもかかわらず、自らの死に場所を探す映画。
 
 なかでも示唆的なのは、高級車に乗るモーリスとジェシーのシーンだろう。
 ジェシーは、ルーフを開けてもらい上半身を外に出して風を受ける。その構図に注目してみる。通常このようなイメージは、フレームにたっぷり空を入れ(仰角気味に)開放感を演出するものである。
 しかしここでは、上フレームがつまっていて、空はほとんど見えず、俯瞰気味に撮影されたアングルの為に異様に長い車体がフレームを占めている。そうして撮られたジェシーのカットに続いて、広い車中で、両足を投出し、ほとんど横になった状態で座っているモーリスのカットになる。
 黒光りするこの細長い車体は、言うまでもなく棺桶なのだ。

 
スポンサーサイト

テーマ:ミニシアター系 - ジャンル:映画

  1. 2007/12/01(土) 01:52:01|
  2. 映画感想
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<「カンナさん大成功です!」と「愛しのローズマリー」や「好きと言えなくて」または「ラブソングができるまで」 | ホーム | 「フライボーイズ」と「メンフィスベル」>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://pointbreak.blog66.fc2.com/tb.php/141-76076bb5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

著書

プロフィール

中澤正行

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

Follow Me on Pinterest

メールフォーム

お問合せはこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

全記事(数)表示

全タイトルを表示

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。