
(ネタバレあり)
ファーストカット、カメラは浜辺から海へパンする。海の絵のカットになり、それを見つめるモーリス(ピーター・オトゥール)に繋がる。
そしてラスト、その海にやってくるモーリスとジェシー(ジョディ・ウィッテカー)。モーリスが息絶えると、カメラは助けを呼びにいくジェシーにつけてパンしはじめる。途中、ジェシーをリリースしたカメラは、そのままパンニングして浜辺から海へ。
ジェシーをリリースしてから後は、ファーストカットと全く同じである。
つまりファーストカットは、まさにこれから語ろうとする物語が行き着く先=モーリスの死を故意に言い落としたフラッシュフォワードカットだったのだということが、遡及的にわかる。
あるいはこうも言える、ファーストカットの前にすでにモーリスは死んでいたのだと。
そして亡くなったモーリスの部屋で、同じ海の絵を見つめるジェシー。冒頭のモーリスを反復している。
すでに与えられているにもかかわらず、自らの死に場所を探す映画。
なかでも示唆的なのは、高級車に乗るモーリスとジェシーのシーンだろう。
ジェシーは、ルーフを開けてもらい上半身を外に出して風を受ける。その構図に注目してみる。通常このようなイメージは、フレームにたっぷり空を入れ(仰角気味に)開放感を演出するものである。
しかしここでは、上フレームがつまっていて、空はほとんど見えず、俯瞰気味に撮影されたアングルの為に異様に長い車体がフレームを占めている。そうして撮られたジェシーのカットに続いて、広い車中で、両足を投出し、ほとんど横になった状態で座っているモーリスのカットになる。
黒光りするこの細長い車体は、言うまでもなく棺桶なのだ。
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