撮影監督の映画批評

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「フライボーイズ」と「メンフィスベル」

フライボーイズ

 経済的なストーリーテリングが見事。
 登場人物それぞれの簡潔な紹介に続き、パリへとやってくる彼ら志願兵達をプラットホームにて会させる。そのバックの空に飛ぶ複葉機につけてカメラがパンすると、そこはすでに仏軍の戦闘機隊基地になっている。運ばれるコーヒーにつけてカメラはテントに入っていく。そこには、司令官のセノール大佐(ジャン・レノ)がいて、彼がカメラが入ってきた入口とは別の出口から外に出るのを、そのままカメラも追って外に出る。すると、そこには先程プラットホームにいた若者たちがすでにユニフォームに着替えて整列している。セノール大佐が訓示を垂れるその頭上を、先輩パイロットのキャシディ(マーチン・ヘンダーソン)が操縦する複葉機が煙をあげながら旋回していて、志願兵らの気がそがれる。そこに遅刻して一人私服で現れる、ゆえに主人公たりえるローリングス(ジェームズ・フランコ)。不時着してやってくるキャシディとローリングスが反目しあう。
 ここまで語られるのに一体何分、何カットだったであろうか。つまり、とても経済的な語りがなされていたと言いたいのだ。

 その後の訓練シーンにおける時間経過も、体を回転させた後、平均台のような板の上を真っすぐ歩かせるトレーニングのその踏破する距離を伸ばすことで端的に描写していて、実に経済的。

 ひとつひとつのエピソードが、いわゆるベタと言われるものであるのは相違ないが、それらの経済的な結構はベタとは程遠い。
 「メンフィスベル」的な友情物語と、キャシディとの世代間の物語で、エピソードも縦と横にわたっていて、複葉機の落下も含む縦横の視覚的な動きと呼応しあっている。

 
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テーマ:ミニシアター系 - ジャンル:映画

  1. 2007/11/29(木) 02:22:53|
  2. 映画感想
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

「メンフィスベル」は好きな作品お一つです。戦争ものと言うより戦闘員の友情が中心ですが、鏡かガラスに写る夫がなくなってしまう瞬間を見る妻も描かれていましたよね。
この場面をパロディに使っていた映画もありました。それはそれで面白いものでしたけど。
  1. 2007/12/25(火) 03:24:48 |
  2. URL |
  3. rin #-
  4. [ 編集]

>rinさん
コメントありがとうございます。
>鏡かガラスに写る夫がなくなってしまう瞬間を見る妻も描かれていましたよね。
そうでしたか、全く忘れてしまっています。
「メンフィスベル」は、誤った地点に爆撃して民間人を殺してしまうかもしれないという可能性と、爆撃を遅らせることによって仲間/自分たちが殺される可能性が高まるというジレンマが、記憶に残っています。民間人を殺してしまうかもしれない可能性は、すなわち殺さないかもしれない可能性でもあるところが、秀逸でした。
  1. 2007/12/29(土) 21:30:29 |
  2. URL |
  3. DPMN #-
  4. [ 編集]

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中澤正行

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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