撮影監督の映画批評

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「春夏秋冬そして春」見せないことで見えるもの

春夏秋冬そして春

 下高井戸シネマのキム・ギドク監督特集で「サマリア」と「春夏秋冬そして春」を観た。食わず嫌いで、今までに「絶対の愛」一本しか観ていなかったが、凄い監督である。

 「春夏秋冬そして春」
 「夏」に恋をした少女(ハ・ヨジン)を追って出奔する少年僧(ソ・ジェギョン)。
 「秋」に寺へと帰ってくる成長した男(キム・ヨンミン)は、自分を裏切った妻を殺している。
 その妻が、「夏」に恋をした少女と同一人物なのかどうかはわからないが、そうではないという理由もないので、そうだと思われる。(もちろんそうだという理由もないのだが)
 「冬」、刑期を終え寺に戻った男(キム・ギドク)のもとに、顔をスカーフで覆った名も知らぬ女性が訪れる。赤子を置いたままひとり寺をあとにする女は、氷上に開いた穴に落ちて溺死する。
 その女の顔を見る男、しかし観客はその顔を見ることができない。「春」に犯した罪を償うかのごとく、石臼を体にくくりつけ菩薩像をかかえ山を登る男。

 溺死した女(「そして春」の子供の母)は、一体誰だったのだろうか?
 前言撤回して、「夏」に恋をした少女だったのか?すると男が殺した妻は全く登場していない別人ということになる。
 あるいは溺死した女は、少女でも、もちろん妻でもない女にすぎないのか?
 
 いづれにしても理屈は通るが、腑に落ちない。
 なぜなら我々観客は、「夏」に恋した少女を妻にした男が、「秋」その妻に裏切られ殺し、「冬」やってきた女は彼が殺したはずの妻=少女であるという辻褄があおうはずもない夢想を抱くからだ。(二度殺したいということか)
 溺死した女が誰であろうと問題ではない。
 溺死した女に、妻=少女を見ようとする心性が問題だと言っている。
 観客と同じ欲望を抱いた男は、それゆえ「春」の罪を償おうとするのだ。
 
 
 
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テーマ:韓国映画 - ジャンル:映画

  1. 2007/09/16(日) 23:16:24|
  2. 映画感想
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<グッド・シェパード | ホーム | 「私たちの幸せな時間」等方向を見る二人を同じフレームに収めるということ>>

コメント

景色がきれいだという印象しか残っていません。
登場人物について言えば、その子が大きくなってこの人になったのね、寺を逃げ出した青年が殺人犯?というようによくわからなかったのが正直なところです。それで、タイトルの「春夏秋冬」は、人生そのものの言い換えと解釈しました。
  1. 2007/10/04(木) 21:13:44 |
  2. URL |
  3. rin #-
  4. [ 編集]

> rinさん
コメントありがとうございます。
確かに景色はきれいに撮影されていましたね。
たしかキム・ギドクは撮影監督を固定していないようなことを、どこかで読んだ記憶があります。
たまたま私は「絶対の愛」が初めてのキム・ギドク体験だったのですが、それがそのレビューにも書きましたが撮影は良くなかった。
「春夏秋冬そして春」 は、違う撮影監督なのでしょう。「弓」の撮影もいいですね。
シャブロルもエドゥアルド・セラと組んだ「石の微笑」と「嘘の心」は、とびきり素晴らしい。撮影監督が作品を左右する事を再認できるのは、同じ撮影者として嬉しい限りです。
  1. 2007/10/07(日) 17:56:06 |
  2. URL |
  3. DPMN #-
  4. [ 編集]

DPMNさんのブログにお邪魔するようになってから、映画の見方が変りました。筋書き中心に観ていたものが、カメラワークや光線に目がいくようになりました。娯楽と芸術とを併せ持つ「作品」として鑑賞できるようになったということになるのでしょうか。
そういう見方をしてくると、昔の作品で今なお観られ続けているのは、物語性だけからではないことがわかります。
ありがとうございました。
  1. 2007/10/19(金) 19:52:05 |
  2. URL |
  3. rin #-
  4. [ 編集]

>rinさん
コメントありがとうございます。
筋書き中心で観るほうが健全な気がしますが、そのようにおっしゃっていただけるのは、素直にうれしいです。
豊かであることはいいことですよね。
これからも、どうぞ御贔屓に。
  1. 2007/10/23(火) 19:40:07 |
  2. URL |
  3. DPMN #-
  4. [ 編集]

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中澤正行

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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