撮影監督の映画批評

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

「あるスキャンダルの覚え書き」竜頭蛇尾の視点

あるスキャンダルの覚え書き

 「あるスキャンダルの覚え書き」は、バーバラ(ジュディ・デンチ)が、シーバ(ケイト・ブランシェット)を一方的に見る描写から始まる。
 その描写は、あくまでバーバラがシーバを一方的に見るという描写なのであって、シーバがバーバラに見られているという描写なのではない。つまり映画はボイスオーバーにも補強されて、バーバラ視点で語られる。
 カメラはその後もバーバラの側を離れることなく寄り添っていくのだが、シーバの告白シークエンスを境にして、カメラはバーバラだけのものではなくなっていく。このシーバ視点の回想シーンを、視点切替の契機とするのは巧い。なぜなら、シーバ視点の回想を聞かされているのはバーバラなのであって、話を聞いたバーバラが再構成した回想ともいえるからだ。つまりバーバラの視点とシーバの視点が重なっている。
 ここからシーバ視点中心に変わっていけば面白いと思うのだが、カメラはシーバとバーバラ双方にどっちつかずで揺れ動く。双方の視点にその都度切り替わるのであればいいのだが、そうではなく視点が消えてしまう。これ以降、人称性を帯びることのないカメラによってストーリーが語られていく、それでは面白くない。
 シーバとバーバラ双方をニュートラルに描こうとして選択された非人称視点は、それ故どちらの心情にもコミットすることができなくさせてしまった。もったいない。 
 

スポンサーサイト

テーマ:ミニシアター系 - ジャンル:映画

  1. 2007/07/24(火) 15:41:30|
  2. 映画感想
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<「私たちの幸せな時間」等方向を見る二人を同じフレームに収めるということ | ホーム | 殯(もがり)の森 人と人を繋ぐパン>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://pointbreak.blog66.fc2.com/tb.php/120-85ec705c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

著書

プロフィール

中澤正行

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

Follow Me on Pinterest

メールフォーム

お問合せはこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

全記事(数)表示

全タイトルを表示

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。