撮影監督の映画批評

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「ボルベール 帰郷」と「おいしい生活」、「黙秘」

ボルベール

 (ネタバレ含みます)
 ライムンダ(ペネロペ・クルス)の夫の死体を隠したレストランが、繁盛してしまう。ウディ・アレンの「おいしい生活」でも、銀行強盗の隠れ蓑にするはずのクッキー屋が繁盛してしまい、その緊張関係が笑いを誘った。
 どちらも期せずして、隠しておきたいものに人が集まってきてしまうのが面白く、とはいえ「盗まれた手紙」のように、人目につくから逆に見つからない。
 ただペドロ・アルモドバルは、この見つかりそうで見つからないサスペンスにも、(それゆえ見つからないのだけれども)隠そうとすればするほど見つかりそうになってしまうアイロニーにも興味がないようなのだ。この魅力的な設定は、さして活かされることはない。


 ライムンダが父親に犯されたことを知った母親イレネ(カルメン・マウラ)は、ライムンダの父親を殺した。
 その父親とライムンダの娘、パウラ(ヨアンナ・コバ)は、ライムンダの夫に犯されそうになり逆に殺してしまう。それを知ったパウラの母、ライムンダは、自分が夫を殺したことにする。
 ライムンダ自身が母となり、イレネが母としてしたことを追体験することで、二人の間の溝が埋まるという話。
 これはテイラー・ハックフォードの「黙秘」を髣髴させる。娘セリーナ(ジェニファー・ジェイソン・リー )が父親に性的嫌がらせを受けていると知った母親ドロレス(キャシー・ベイツ)は、夫を事故に見せかけ殺してしまう。その記憶を抑圧してしまったセリーナは、母を嫌悪する。20年後、ドロレスは別の殺人容疑をかけられる。真相を知ろうとするセリーナだが、20年前の事件が関係していて抑圧していた記憶を白日の下にさらす必要がある。母親がしてくれたことの真相を
知ったことで、二人の間の溝が埋まるという話。

 同じ題材で、ここまで毛色の違う作品になるというのは、本当に面白い。
 ただ、それぞれ「おいしい生活」「黙秘」の方が、個人的には好みである、私はあまり良いペドロ・アルモドバルの観客ではないようだ。
 しかし、面白いことは面白い。
 匂いの処理なんかは「パフューム」なんかより断然巧い。エアロバイクのグリップを嗅ぐというセンスは素晴らしい。
 また、ライムンダだけが母親がそこにいることを知らず、まわりが気づかれないように慌てふためく様などは、とても面白かった。母親との対面も、ライムンダの姉、ソーレ(ロラ・ドゥエニャス)の時は車のトランク、ライムンダの時はベッドの下と、いずれも窮屈に横たわった姿でなされているところもセンスを感じさせる。
 

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テーマ:ヨーロッパ映画 - ジャンル:映画

  1. 2007/06/30(土) 17:02:55|
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中澤正行

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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