撮影監督の映画批評

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「猟奇的な彼女」(クァク・ジェヨン)

 備忘録のつもりではじめたブログなので、evernoteを備忘録として使いだしてから、随分と更新が滞ってしまった。しかし人の目に触れない安心の上で書かれた備忘録は、忘れたときの私の目にも触れないかのごとく書かれていて、読み返すとしばしば意味がわからない。人の目に触れるこのブログに書いた記事でさえ、たまに読み返して意味のわからないものがあるのだから、然もありなん。反省。

 「猟奇的な彼女」をDVDにて再見。
 「猟奇的な」フリをする彼女(チョン・ジヒョン)である。であるからこそキョヌ(チャ・テヒョン)も我々も魅かれるのだ。「猟奇的な」フリをせざるをえない彼女に魅かれる。 
 キョヌは彼女の心の傷をいやしたいと思うが、決してその真相に迫ろうとはしない。むしろそれに気づかないフリをする。
 キョヌが彼女の見合い相手にアドバイスするシーンに次のようなセリフがある。
 「殴られたら、痛くなくても痛いフリを、痛くても平気なフリを」
 この一見矛盾するようなアドバイスは、それゆえ本質を突いている。つまりフリをすること。
 死んだ彼氏のフリをさせられていたとわかっても尚、フリを続ける。それは落雷で死んだ木の代わりに、それとそっくりの、そのフリをする木を植えるのに象徴的である。キョヌは「めまい」(アルフレッド・ヒッチコック)のキム・ノヴァクのようにフリをするのが耐えられなくなることはない。
 そのフリをフリのままにするキョヌを知って、彼女は電話をかける。しかし、現在この番号は使われていないというアナウンスが流れる。かつてキョヌがそのアナウンスのフリをしたことが思い出される。
 ラストの再会が感動的なのは、それがおばさんの手前、二人して初対面のフリのままなされるからである。それゆえ直前の地下鉄ではニアミスとして見送られたのだ。地下鉄での再会では、フリができない。
 フリをフリのままで終わらせる。例えば名作「さらば友よ」(ジャン・エルマン)の有名なラストがすばらしいのは、それゆえである。Yeah!
 
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  1. 2010/07/18(日) 16:11:10|
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  4. | コメント:1

著書

プロフィール

中澤正行

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

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