撮影監督の映画批評

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

「メリーに首ったけ」(ボビー・ファレリー / ピーター・ファレリー)

 DVDにて再見。

  I'm fucking with you(からかったのよ)
 メリー(キャメロン・ディアス)のこのセリフが彼女を魅力的に見せている。本編中、このセリフは都合3度出てくるのだが、その3度を予告するシーンがまずある。プロムの日、テッド(ベン・スティラー)がメリーを迎えにいくと彼女の継父が応対し、娘はすでにボーイフレンドと出かけたと告げる。テッドは驚くわけでもなく、然もありなんといった風情で帰ろうとする。そこに母親がやってきてからかわれたことがわかる。このテッドの無言のリアクションに、彼のキャラクターが凝縮されている。
 メリーに会うためフロリダへとやってきたテッドは、偶然を装ってメリーと再会する。うれしい驚きに話が弾むが、メリーがなぜここにいるのかとの問いに答えるテッドは途中で言葉につまる(これだけで、しれっと嘘をつくことができない彼のキャラクターがわかる)。メリーが助け舟をだし再び会話に弾みがつくと、テッドはつもる話もあるからと食事に誘う。するとメリーはこれ以上なにを話すのかと答える。何も言えないテッド。 I'm fucking with you(からかったのよ)
 デートでの会話が弾み、テッドがなぜいままで独身だったのかと訊ねる。バイセクシャルだからと答えるメリー。一瞬言葉を失うが、なんでもないことだと懸命に伝えようとするテッド。 I'm fucking with you(からかったのよ)
 ラスト、自ら身を引いたテッドは泣きながらメリーの家を後にする。呼び止めるメリー。期待に胸ふくらませ笑顔で引き返すテッド。差し出される鍵の忘れ物。このときのベン・スティラーのなんともいえないリアクションが最高。踵を返し立ち去るテッドをふたたび呼び止めるメリー。あなたと幸せになりたいと言う。You're fucking with me, right?(からかってるの?)と訊くテッド。このときのテッドがロングショットで小さくとらえられているのも巧い。首をよこにふるメリー。三段オチ。
 テッドに感情移入している観客は、テッドとともに安堵しメリーのその表情に恋するのである。どうせ・・・という自己憐憫とその回復。映画全体で描かれるそのモチーフが、I'm fucking with you(からかったのよ)というセリフとキャメロン・ディアスの笑顔に凝縮されたかたちで入れ子のように3つ配置されているのだ。
 この映画のキャメロン・ディアスが魅力的なのは、彼女自身の魅力ももちろんさることながら、ベン・スティラーの受けの芝居が資するところ絶大なのである。
 
スポンサーサイト

テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

  1. 2010/05/04(火) 12:59:05|
  2. 映画感想
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
<<「息もできない」(ヤン・イクチュン) | ホーム | 3D映画とPOV映画の親近性>>

コメント

この映画大好きで何度も見てるのに繰り返されていることに気づきませんでした!
たしかにこのセリフだけでキャラクターに性格、キャラの関係性が見えてきますね。素晴らしい。
テッドとメリーはこの先もこういうようにからかいながら付き合っていくのだろう、と想像もしやすいですね。
  1. 2012/05/28(月) 09:58:14 |
  2. URL |
  3. ななし #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://pointbreak.blog66.fc2.com/tb.php/283-7a2da0b9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

著書

プロフィール

Author:中澤正行
撮影監督

主な作品
2006「天使の卵」
同年 第50回三浦賞受賞
2008「あの空をおぼえてる」

Follow Me on Pinterest

メールフォーム

お問合せはこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

全記事(数)表示

全タイトルを表示

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。